岩手県

夫婦げんかで100万円超のボトル開封 盛岡のバー

12月6日6時12分配信 河北新報


 盛岡市のバー「スコッチハウス」が年末、ボトル1本に100万円超の値が付く「ブラックボウモア」(1964年)のファースト試飲会を開く。その味わいをめぐる経営者夫婦のけんかがきっかけで、お宝のスコッチが味わえることになった。客の前で貴重なコレクションの封を切り、夫婦の対立にピリオドを打つ。

 夫婦は関和雄さん(60)と聡子さん(47)。和雄さんは発売時の1993年にファースト6本を入手。直後、3本を人に譲り1本を飲んで、2本を残した。1本2万円前後だった価格はプレミアムが付いて急上昇。飲むに飲めないボトルになった。

 当時、価格急騰を予想しなかった和雄さんは仲間内だけで飲んでしまった。人気が高まるにつれ、聡子さんには飲ませてもらえなかった怒りが蓄積。今年6月、東京でファーストに次ぐ質のセカンドを1人だけ味わってきたが、その感想に和雄さんがかみついた。

 聡子さんが「(マンゴーや桃などの)トロピカルな味だった」と言うのに対し、和雄さんは「(かんきつ系の)フルーティーな味と言うならば分かるが、当時のボウモアは断じてトロピカルでない」と主張。

 夫婦の議論は一向に収まらず、秋になり和雄さんが突然、「黒白はっきりさせよう」と開封を宣言。1本の封を切り、試飲会の形にして10人余りの客の前で決着をつけることが決まった。

 ボトルごと売った方が利益は大きいが、「セカンドが中身を入れ替えたフェイク(偽物)だった可能性がある。15年前に味わった濃厚なシェリーの香りとはちみつのような甘さの記憶を自分で確認したい」と和雄さん。

 聡子さんは「飲まなければフェイクかどうか確かめようがない。仲間はずれにされた15年前の恨みも晴らしたい」と心待ちにしている。

 最終決戦は30日午後6時スタート。会費は3万円。連絡先はスコッチハウス019(604)5577。

[ブラックボウモアのファースト] スコッチの代表的な銘柄ボウモアのシリーズで、特別なたるで熟成させて黒色に染めたのが特徴。ファーストは蒸留所が最初に出荷した一番上質の品で、2000本が出荷された。時がたつほどプレミアが付くため、現在は市場にもほとんど出回らず、客に出す店は皆無という。東京・銀座では一時、1本280万円で売られていた。

最終更新:12月6日6時12分

河北新報


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